トレーサビリティ制度に基づく標準ガス
トレーサビリティ制度の創設と変遷
校正事業者登録制度は、公表されている登録区分において校正事業を実施する校正事業者を対象に、登録を希望する事業者からの任意の申請に基づき、その事業者のマネジメントシステム、校正方法、不確かさの見積り、設備などが校正を実施する上で適切であるかどうか、定められたとおりマネジメントシステムが運営されているか、書類審査と現地審査が行われ、問題がなければ登録を受ける事が出来ます。尚、校正事業者認定制度では更新審査がありませんでしたが、校正事業者登録制度では4年に1度の更新審査が義務付けられております。
また、このトレーサビリティ制度は、高精度の計量標準の確立を促進し、産業界のニーズにあった計量標準を円滑に供給するための体系の整備を図るとともに登録事業者が校正等を行い、供給した計量標準が国家計量標準とつながりがあることを対外的に証明できることにしたものです。
この制度は、次の3つの柱から成り立っています。
- 国家計量標準(一次標準)を経済産業大臣が特定標準器等又は特定標準物質として指定する。
- 経済産業大臣が指定した一次標準の供給実施機関を法令により指定し、標準供給を義務付けする。
- 産業界等への計量標準の供給機関として、独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長より登録を受けた登録事業者は、広く一般ユーザーに対して計量器の校正又は標準物質の値付けを行うとともに、本制度のロゴマーク(標章)としてJCSSマークを付した校正等の証明書を発行することができる。
一般財団法人化学物質評価研究機構は、平成5年11月に濃度(標準ガス及び標準液)に係る指定校正機関(一次標準の供給機関)として、経済産業大臣から指定されました。
さらに大陽日酸JFP株式会社 小山工場では、多国間の相互承認である「国際MRA対応認定事業者」の認定も取得。これはILAC(国際試験所認定協力機構)およびAPAC(アジア太平洋認定協力機構)に加盟する各国校正機関が発行する校正証明書と同等のものであるため、国際間取引で重複して行われる試験を省くことができます。
登録事業者から一般ユーザーに供給する標準物質については、
指定校正機関が標準物質ごとの濃度信頼性試験を実施しています。
標準ガスの種類、範囲及び規格
種類 |
範囲 |
規格 [%] |
1級標準ガス |
2級標準ガス |
CH4 – Air |
|
±1.0 |
±2.0 |
C3H8 – Air |
|
±1.0 |
±2.0 |
C3H8 – N2 |
|
±1.0 |
±2.0 |
CO – N2 |
3 vol ppm 以上 |
〜 |
10 vol ppm 以下 |
|
±1.5 |
±2.5 |
10 vol ppm超 |
〜 |
50 vol ppm 以下 |
|
±1.0 |
|
±2.0 |
CO2 – N2 |
|
±1.0 |
±2.0 |
NO – N2 |
|
– |
±5.0 |
1 vol ppm超 |
〜 |
20 vol ppm 以下 |
|
±1.5 |
±2.5 |
20 vol ppm超 |
〜 |
30 vol ppm 以下 |
|
±1.0 |
|
±2.0 |
NO2 – Air |
|
±5.0 |
– |
O2 – N2 |
|
±1.0 |
±2.0 |
SO2 – N2 |
|
– |
±5.0 |
|
±1.5 |
±2.5 |
|
±1.0 |
±2.0 |
注) |
1級標準ガス |
登録事業者が値付けした標準ガスのすべてについて、指定校正機関が濃度信頼性試験を実施したとき、測定濃度が表の規格欄に揚げる1級標準ガスの規格のものです。 |
|
2級標準ガス |
登録事業者が値付けした標準ガスのうち1/3を抜き取り、指定校正機関が濃度信頼性試験を実施したとき、測定濃度が表の規格欄に揚げる2級標準ガスの規格のものです。 |
零位調整標準ガス(ゼロガス)の種類及び品質
種類 |
品質 |
発生源用零位調整標準ガス
(空気又は窒素) |
共存成分がCH4 0.5 vol ppm以下、CO 1.0 vol ppm以下、
CO2 1.0 vol ppm以下、SO2 1.0 vol ppm以下及び
NO+NO2 0.1 vol ppm以下のもの |
環境用零位調整標準ガス
(空気) |
共存成分がSO2 0.005 vol ppm以下及び
NO+NO2 0.005 vol ppm以下のもの |